「単なる情報」と「伝えるべきもの」


この文章は、
SAPIO 4/26号 小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言』 第230章 ネットの中のお婆ちゃんの『情報』
を読んだ感想を書いたものです。


情報とは?


情報化社会で、人は何を得たのだろうか?
情報・・・・知ると知らないとでは大違いなもの、必須ではないけど、人生を豊かに、便利にするもの。
その反面、大量に生まれては消えゆくもの、使い捨て、表面だけを知って、全てを知った気になり満足する。
・・・・なんか、科学とか道具とかと(最後を除けば)同じような感じだな。


英語には information と intelligence という2種類の、情報を意味する単語がある。


自分はこれを
information は案内所で得られるような情報。
intelligence は CIA(アメリカの中央情報局、Central Intelligence Agency)が集めるような、すごく大事な情報。
と理解している。


intelligence には知能とか、理解力という意味もある。
そういう感じの大切さ・・・・つまり、消えてゆくのが悲しい感じの、使い捨ててはならない、表面だけをさわれない、
動物にはない、人間の本質と一体化しているような、何か。


日本語には・・・・


日本語の情報には、このような違いはない。
すごく大事な情報・・・・知識とか?・・・・情報を自分の中で消化できているのが、知識というイメージがある。
知恵・・・・知識がさらに深まった感じ?
どちらにしろ、情報が質的な変化を起こしているような感じで、それはもはや、情報とは別物のような・・・・。


「情報化社会でも伝えきらないような何か」と「情報」を合わせて言い表すような言葉。
何か・・・・垂れ流しの情報ではなくて、親から子へ、友から友へ、親方から弟子に・・・渡されてきた何かを表す言葉は?




・・・・多分きっと、うまく言葉にできない。
実体の無いような不確かな何か、背中で語るようなそれには、名前がついていないのだ。
(つけられないのか、つけなかったのかは知らないけど)


・・・・そう思っていたら、唐突に思いついた。
一度思いついてみると、これしかないような答えに思えてくる。
この言葉は、それを現わすために生まれてきたのだ。情報の上位概念、それは


心、だ。


ちょっと待てよ。伝えるべきものには、伝統工芸とか建築、科学などの技術も含まれる。
こういう実践的で実体のあるものを心と呼ぶのには違和感がある。
匠のわざ・・・・技。
心+技。


心技体のうち、体を抜いたもの・・・・これだ。
今までずっと、心技体っていうのは(特に武道とかで)人間が鍛えるべきもの・・として理解してたけど、
それもそうだけど、これは、人間が伝えるべきものとして、あるのではないだろうか。


・・・・なんか、魔方陣グルグルの修行(具象気体でできた山を登るやつ)じゃないけど、
ものすごく大切な何かに触れた気がする・・・・。


とりあえず、ここで整理を。


情報は、心技の中に含まれる。
情報の中にも重要なものがあり、心技の中にも不必要なものがある。
(要・不要は、状況や個人個人で違うものだ。)


情報化社会と情報伝達手段


情報化社会で伝わるのは、情報だ。
IT、information technology は、intelligence technology ではないのだ。
これを名付けた人は、そのへんが解っていたのだと思う。


情報化社会とは何なのだろうか?
情報をやりとりするのが容易な社会。
・・・大いに結構だ。
ただ、批判する人の立場からすれば、それを万能のように思うのは間違っている、という事なのだろう。


最近になって批判されるようになった、という事は、
最近の情報伝達手段、コンピューターネットワークが批判されているという事だ。


情報伝達手段には様々な段階がある。
言語、文字、活版印刷、テレビ・ラジオ、そしてコンピューターネットワーク。
かたちが違うだけで、どれもその目的に変わりは無い。差別するようなものではないと思う。


文字があれば、時間的・距離的に離れた人に、伝える事ができる。
活版印刷でその数が増え、
テレビ・ラジオで、文字・活版印刷の利点を強化 + 聴覚と視覚に訴え、しかしその場限りという弱点も持つ事になった。
コンピューターネットワークは、テレビ・ラジオの利点を強化 + 双方向。しかもいつでも見れる。


情報化社会の、現時点での限界


しかし、伝わりにくいもの、伝えられないものもある。
人と人が、相対(あいたい)(会いたいって、語源は一緒?)した時にしか伝わらないもの・・・・
つまり、
「愛に雪、恋を白」(ものすごく好きなキャッチコピー、JR東日本・SKISKIキャンペーン)
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200310/10toku3.html
って事か。そうならそうとww


とにかくコンピューターネットワークは、人類が持ちうる最強の情報伝達手段だ。
けれど、万能ではない。太古から続いてきた、単なる人と人との向き合いに及ばない部分がある。


批判する人が本当に言いたいのは、
「伝えたいもの全てが、コンピューターネットワークで伝わるわけではない。」
だろう。それに対する反論は、
「コンピューターネットワークを使っている人全てが、そこから全部を知ろうとしているわけではない。」
だ。


話をまとめる。
人が人に伝えられるものを、全てひっくるめて「心技体」とよぶ。
そのうち、子供をつくる事以外のものを「心技」とよぶ。
心技のうち、相対しないで伝えられるものを「情報」とよぶ。



追加考察


心技のうち、伝える人の思いが強く、質が高いものは
伝えられる側が深く考え、実践することで知識となり、
その本人と他人の人生の相乗効果の中で、人格に根付いて知恵になる?