スクウェア・エニックス、凍てつく海を航行するタイタニック。


少し前に「イノベーションのジレンマ」という本を読んだ。
中島さんのサイトで「人生を変えた本」として紹介されて、そういう本にすごく興味を持ったからだ。

http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/post_2.html


この本には「業界のトップを行くような企業が、何故つぶれてしまうのか」が
詳しく、解りやすく、納得がいくように書かれている。
この本を読むまでは、大企業が潰れるのは、その地位にあることの油断とか、新技術に対応できなくなるせいだと思っていた。
けれど、違うらしい。大企業の人々はむしろ、やる気に満ちていて、新しい技術も産む力も備えている。
そして、そのせいで潰れていくのだ。


とにかく面白くて、刺激的な本だった。


イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)


ゲームの世界で考えると、映像がどんどんきれいになっていく事が、イノベーションのジレンマだ。
(ほとんどの人は今以上の映像を望んでおらず、携帯機が市場を奪いつつある。)
ゲーム会社はたくさんあるけど、その中でも特にスクウェアエニックスは、このジレンマに陥っていると思う。
きれいな映像を作ろうとする、中の人たちの意思や能力が、他の会社よりすごく高いからだと思うけど・・。
このままでは一部の人に超美麗なゲームを結構な値段で売る会社になり、・・・・いつかは潰れてしまうかもしれない。


スクエニのゲームは美しく、豪華で、大規模だ。ゲームクリエイターの夢の結晶。
そして思うのが、まるでタイタニックみたい・・・・という事だ。
The ship of dreams ならぬ The game of dreams もちろんまだ、沈んでいないけど。



そんな事を考えていたら、
スクエニと松下電器が共同で、シームレス・コンテンツの開発および利用環境を構築
するというニュースを知った。
船が沈む前に救命ボートに・・むしろ、船の上で次世代の艦船を作り出して、そっちに乗り移ろうという試み。
すごくおもしろいと思う。
今まで多くの企業が過去の事業から離れられず、破壊的テクノロジーの前に破れてきた。


けれどスクエニは真っ先に、家電を含めたパーベイシブ・アプリケーションの世界に首を突っ込もうとしている。
あとは「救命ボートにも1等があるのかしら?」と言う客とか、船と運命を共にしようとする人達がいないといいけど。
話はつながらないけど、あの映画で一番かっこいいのはアンドリュースさんだよな・・・・。
けど、これは映画じゃない。彼を船から引きずり出して、新しい船を設計させるべきだww。