「暗号技術入門-秘密の国のアリス」を読んだ。


暗号技術入門-秘密の国のアリス



暗号ってこういうものなんだ。
なにやら得体の知れない技術・・と思っていたけど、基本的な構造は単純だというのが解った。
でも、単純だけど奥が深い。
言われれば、おれでも理解できるような方法で暗号化しているのに、
今のコンピューターの10の10乗倍のスピードで、宇宙の寿命より長く計算しても解読できない暗号ができる。
暗号化の方法も美しい。数学ってこんなこともできるんだ。
博士の愛した数式」の数学話に興味を持った人なら、この本もきっと楽しめると思う。



で、この本を読んで一番感動したのが公開鍵暗号についての説明。
・・・・読むまでよく知らなかった事に感謝した。
その考え方にしびれた。暗号についての漠然としたイメージがひっくり返った。
コロンブスの卵の中の卵。
読んでる間、「これ考えた奴アタマいい〜」と何度つぶやいたか解らない。



なんとなく知ったら、なんとなくそういうものだ・・と思ってしまいそうだけど・・・・
そこまでの話のもっていきかたが、またうまい。
副題の「不思議の国のアリス」って、最初は「別にアリスいなくても・・・」と思ったけど、
公開鍵の章では大活躍。
ちょっと説明されても解らない事が、人の名前で出てくると一発で理解できるのだから、
人の頭ってゲンキンなものだ。




結論
計算に時間がかかる事をマイナスと捉えず、逆に利用したり、
数学的な防御をあっさり迂回したり(リプレイアタックとか・・)するのを見るのは気持ちがよかった。
公開鍵暗号は天地がひっくり返るような衝撃。
こういう本がもっと読みたい。