エヴァ、ハルヒと時代の空気。それを読むのがNHKなら、
90年代にエヴァンゲリオンが大流行して、文化に大きな影響を与えた。
「主人公の活躍が世界を救う」「ボーイミーツガール」「心の内面の重視」
最後のは「自分探し」みたいで好きじゃかった・・・・けど、そういう時代の空気だったし、それを見事に捕らえていたと思う。
そして、影響を受けた数多くの作品が出た。
ここまで人気がでれば、それに対する反作用、
「主人公が、世界のほんの一部を助ける力になる」「イチャイチャしない」「行動の重視」
の物語が出てきて、00年代の代表作になるはずだった。
00年代の代表作と言えるアニメを決めようぜ
http://d.hatena.ne.jp/GilCrows/20060624/p2
結局、その座を奪うアニメは現れなかった。
けれど、それに非常に近い方向性の物語が出現した。NHKの「プロジェクトX」である。
NHKの底力
プロジェクトXは、みんなが知ってるほど有名でないけど、テレビや新幹線、自動車など、
今の暮らしに欠かせないものを作った人々の物語。
地道な努力、数々の失敗や挫折を乗り越え事業を成し遂げ、
(ほとんど)誰にも知られずに、この世界の礎となった人達。
すごく良かった。みんながこの番組を見て
「自分もいつかは、こういう技術者/人のまとめ役になりたい」
と思ったら、良かったのだけれど。
どうやら、この国の人々は、想像以上に自信を失っていた。
「自分が、あんな風になれる訳が無い。」
ついでに、物語の世界の中でさえも、主役になる事を拒否し始めた。
kanoke さんのブログから引用 http://d.hatena.ne.jp/kanoke/20060703
私は仮想の世界でくらい、他人を引っ張りまわしたり、好き勝手したりするべきだろと思います。
ですが今は仮想の世界でも、他人に引っ張りまわされたいと思うのでしょう。
そういう人達が多いと想定して作られ、実際にヒットしたのが「涼宮ハルヒの憂鬱」だと思う。
だったらいっそ、「特別な力も才能ないけど、人生すごく楽しいよ。」な物語を作ればいいのに。
実際楽しいし。
平凡や普通が一番・・・・というと、向上心も根性も無い人間みたいで嫌だけど。
で、またNHKがやってくれました。
「鶴瓶の家族に乾杯」 http://www.nhk.or.jp/kanpai/
笑福亭鶴瓶がゲストと一緒に日本各地に出かけて、地元の人達とお話する・・・・だけの番組。
方向性は「田舎に泊まろう」http://www.tv-tokyo.co.jp/inaka/
と同じだけど、あれほど痛々しくないのがいい。
で、ただの名所案内旅番組よりは面白い。
毎度毎度、NHKの時代の空気を読む力には驚かされる。
アニメだと「魔女の宅急便」はこの路線だと思う。
あれは良かった。主人公が頑張る姿に心打たれた。
ゲームだと「ぼくのなつやすみ2」とか。
ただ海で泳いで、虫を採るだけのゲームなのに何故か楽しい、ほのぼのする。
なんだろう
特別な力とか才能が無いと絶望的な底辺人生・・・・というのが、今の時代の空気なのかな?
だから、等身大の物語はやだし、
かといって、特別特別すげーだろ物語には飽きたし、見てられない、と。
現実 → なんとかバランスを取るわけにはいかないですかね。
希望を持ちつつ、現状をしっかり生きる・・みたいな。
物語 → なんでもありだから、自分が好きなやつを選べばいいと思う。
けど、等身大の物語でヒット作がないのは、作る側の認識不足だと思う。
需要があると知れば、今の時代の空気を読み込んだ、00年代の傑作が現れるはずだ。
というか、
>>特別な力とか才能が無いと絶望的な底辺人生
そんなわけは無いけど、そう信じてれば本当にそうなっちゃうぞ。
誰かこの空気を変える人は?
その他「特別な力も才能ないけど、人生楽しい」系
小説だと
「4TEEN」
池袋ウエストゲートパークの原作者の作品。
舞台は再開発されつつある月島。主人公は中学生男子グループ。
彼らを主人公にした別々の8つの物語。
「永遠の出口」
主人公の小学生から高校生までの各時代の出来事を9つの物語で語ったオムニバス。
全体的にひどく生々しい思いが伝わってくる。
この2つはセットでおすすめ。2つとも旅(というか、近場をうろついていただけなんだけど・・・・)
についての章があって、他の旅物語に負けないだけの、わくわく感があり、空しい気持ちがあるのが良かった。
マンガだと
「あずまんが大王」
説明不要?
女子高生たちの、何てことはない日常の物語。けど、おもしろい。
「ニアアンダーセブン」
浪人生とそこに居候している宇宙人の、貧乏ドタバタコメディ。
なんだこの、なつかし感。